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「……私の言うことって全部綺麗事なの。だから皆に笑われちゃうの、理想ばっか描いてるって。けどね私、人は理想を描けなきゃ生きていけないって思う。誰だって結局は皆幸せを願ってるの。それに気付けてないから笑うのよ」 握った手のひらが熱を帯びている。 意志の強い彼女の目は涙は止まって、真っ直ぐに僕を捉えた。 ……なるほど、僕はこの目が怖いんだ。 卑屈になってる僕を、病気を理由に逃げてる僕を優しく、それでいて厳しく咎めるその目が。 「泉、私と一緒に理想を描こうよ。一緒ならきっと大切にできる」 「えっ?」 「簡単なのでいいの!例えば、……隣町に出来たおっきなレストランでいっぱい食べるとか。讃岐うどん早食いするとか……」 うーんとね……、と笑華の口からは驚くべき事に次々に「理想」が紡がれる。 そんな不思議なくらいよく動く口や表情に、釘付けになっていた。 「約束!泉は私とまず駅前のプリンを食べるの!いい?」 「待って、何をそんな素っ頓狂に……」 急に現実に戻された。 「だーかーらー!もう、案外泉って抜けてるんだね!いい?もう一回しか言わないよ、泉と私で駅前のプリン食べに行くの!」 頬を膨らませながら僕を叱る。 「プリンって、何で……」 「だって、あそこのプリンすんごい美味しいんだもん!一度食べたら病みつきになっちゃうよ!そしたら泉、また駅前まで行きたくなっちゃうでしょ?」  
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