#2いつもと違う、タコスの味

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「今日も、ネイチャーは忙しかった? ミヨ、お疲れだろう」黒の四角い眼鏡の奥から、優しげな眼差しを三夜子に送った。 「セシルも、もうこんなに酔ってるから、そろそろ終わりにしようか――明日も早いんじゃないの?」  彼の問いかけに、三夜子はかぶりを振って見せた。 「ううん、デイヴィッド、平気だよ。わたし、明日は休みだから。それに、二人に会うのも久しぶりだからね」 「そうよ、ミヨ」セシルが上半身をむっくり起こした。 「秋のニューヨークコレクション以来なんだからね、少しはわたしにかまってもらわないと」  再びうつぶせになった弾みで、セシルの前に並んだ皿やグラスが落ちてしまいそうになるのを、デイヴィッドは「こらこらあ」と言って、セシルのまわりを空けてやった。
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