#2いつもと違う、タコスの味

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「デイヴィッドも、知ってるでしょう?」 「なにが?」 「ほら、招待状の写真――」 「ああ」デイヴィッドがうんざりしたように言った。三夜子が何を言わんとしているか、察しがついたようだ。 「五十嵐さんの母親が、パリ在住の〝有名な〟デザイナーっていう、あの写真?」 「そう。日本では、彼と横井ミチとの報道で、もちきりなのよ? こんな状況で、わたしが妊娠しただなんて、火に油を注ぐだけ。彼のキャリアを台無しにする」 「そんなあ」デイヴィッドは、ありえない、というふうにかぶりを振って言った。 「もとはと言えば、五十嵐さんが、だらしないからじゃないか。ミヨ、きちんと考えて? 内緒にしてるって、それはよくないよ」
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