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「もしうちが、出資に名乗りをあげると、どうなる?」
「それは正気か?」平岡がおかしそうに言った。
「相手は〝ゴールドサン・ジェイン〟。有名な投資銀行だぞ? ホワイト・ナイト(敵対的買収を受けた際、被買収企業の意向を受けて、友好的にその株式を買い取る第三者の企業など)になろうなんて、考えてるんじゃないだろうな」
「ああ……わかってる」
「バックには、大きな財閥が手綱を操っているという噂だ。うちも買い取られかねないぞ」
「財閥?」公香が目を丸くする。
「財閥……」五十嵐はきょとんとした。
ここぞとばかりに木下が話し出した。
「まあ、くわしくはわかりません。表向きは〝ゴールドサン・ジェイン〟が出ていますから」
そこで木下は声を低めた。
「ただし今回は、二重、三重と隠れ蓑をかぶった、その財閥が仕掛けているという噂も。その一方で、単に〝ゴールドサン・ジェイン〟が、株で儲けたいだけという声も聞きます」
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