0人が本棚に入れています
本棚に追加
////
僕は ペイジを諦め、本を閉じ
もとの場所へと返しに行く
立ち上がる全身の動きが、
うまく体躯に 馴染まない…
誰もいない本棚の空間を
空気のように すり抜けて歩く。
水…
僕の両の耳の中心は
今 水色だ…
蛍光灯や カーペット
本棚に並ぶ背表紙 総てが
水色に染まっている…。
本の隙間に 本をねじ込む指さえ
水色に揺らめいて見える…。
視覚は 想像を抱き込み、
蛇口から 新たな認識を
頭へと噴射する
新たな認識で 白いシャツや
紺のパンツは
ずぶ濡れになっていき、
裸足の足元から 水たまりが
延々と 四方へと 広がっていく。
思念は生き物であり 、
母なる海原を模倣しながら
やがて 波を打つだろう…
そこで 認識の微生物が誕生し、
年月を追い 繁殖していく
水色は それらを内包し、
努めて明るく 清々しく
僕に振る舞って見せるようだ
ある種の人々が
そうするように。
最初のコメントを投稿しよう!