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「…………何もないな」
ポツンと立つ炎髪の男はそう呟いた。
確かに男が立つ地には高低のわからない黒雲の空と草木が枯れ果て、地面すら生気を失い黒い大地となっている。
それが果てしなく続いているのだ。
「…まったくっ、気づいたら変な場所にいることが多いな」
溜息をつき、あてもなく歩き出す。
体感時間ではこれを5時間は続けているが一向に変化は無く、イライラが積まれている。
しかし
「いい加減出てこい…俺はさっさと現実に戻りたいんだ」
空気すら静まり返り、一見ただの独り言にしか見えない。
だが…炎髪の男、【紅の死神アルト・ブレッド】は自分の後ろの大地をジッと見つめる。
「あははっ、さすが奴らに対抗してる人間ね♪
面白いわぁ!」
虚空から声が聞こえたかと思えば、黒い火柱が上がり、黒い女性が現れた。
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