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「それで俺に何のようだ?
無駄に散歩させられてこっちは腹がたっているんだが…」
「アハハッ、それは悪いわね。貴方がどんな奴なのか気になってつい…眺めちゃってたわぁ…」
黒い瞳を妖艶に光らせ、舌なめずりをして女はアルトへと近づく。
アルトはいつもの愛刀がないとわかっているので我流の体術の構えをとるのだが…
「そんなに構えないでよぉ…今回は話に来ただけなんだからさぁ~」
一瞬で距離を詰められ、クイッと顎を持ち上げられる。
背は同じくらいなのだがアルトは女の瞳に見入っていた。
(何処までも深い黒…吸い込まれそうだ…)
「アラアラ…私に惚れちゃった?
私はいいわよぉ~」
女は笑いながら誘うがハッとアルトは正気に戻ると顎に添えられた手を払い、睨みつけた。
「男が目的なら他を当たれ、女に興味はない。」
「その割には可愛い反応だったけど…まぁいいわ。
私は相談があって来たのよ。炎王龍の王種の異契者である貴方にね…」
クスクスと笑う女にイライラしながらアルト言葉を待った。
「今、私や姉様に喧嘩を売った龍達がいるのよ。それで龍は貴方の殺す対象でもある……だから私と…」
そして、女が言葉を続けようとしたその時ッ!
ビキッパキ…
白と黒の世界にヒビが入り、アルトと女の間にも亀裂が入った。
そして世界が壊れる瞬間…最後に女はアルトに向かい言った。
「ラルダで会いましょう」っと…
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