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「…私も身体を動かしてきます。」
「わかった。でも無理せず適度にしておきなよ?
何も出来なくてむず痒いのはわかるけど……それはサヤちゃんだけじゃないんだ。」
「……うん、ただ待つのも立派な出来ること。アルトは仲間…私は信じてる」
肩を落とすサヤにクリアとカナメが言葉をかける。
いくどなくあった困難も乗り越え、切り開いて来た仲間だからこそ断言できること。
それはカナメとクリアは信じているからこそ、言えることだった。
「わっ私だって信じてます!アルトさんは師匠であり、目標で仲間なんです!
…でも」
そのままストンッと腰が抜けたかのように床にサヤは座り込む。
「火竜討伐の時も樹海遭難の時もアルトさんはいなくなって傷付いてっ!」
サヤはエントランスに響くほど大きな声で言う。
「アルトさんは厳しいけど、本当は面倒見がよくて…強くて…かっこよくて…ひよっこだった私を見捨てずに、一人前かはわかりませんけど…ハンターにしてくれたんです!」
段々声は小さくなっていき、目からは涙がこぼれる。
「それなのにっなんでっ!なんでですかっ!こんなに酷いことってあんまりですっアルトさんは全然悪くないのにっ!
」
「それは…」
見兼ねたクリアが立ち上がり、サヤに寄ろうとした時…
「余計なお世話だ、馬鹿弟子がっ!」
三人が驚き、顔を向けるとそこには仁王立ちしたアルトが扉の前に立っていた。
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