進行

12/15
前へ
/30ページ
次へ
「ア、ルト…さん?」 「それ以外に何に見える?」 ズカズカと一歩ずつアルトは座るサヤに迫る。 そして前まで来ると同じ目線になるように屈んだ。 「前に俺がアキナに言ったこと…覚えてるか?」 「は、はいぃっ!覚えでばす!」 涙を零しながら鼻声で返事をする。 「ならわかっているはずだ。これは俺が望み、選択した結果であり、俺の歩みだ。」 サヤの頭に手を乗せ、蒼髪を撫でる。 その時のアルトの顔は若干影が指したが言葉を続ける。 「後悔がなかったわけじゃない…お前を巻き込み、カナメに大怪我をさせ、トミスの人々を危険にさらした…」 目を閉じてその光景を思い出しながら自分の心に刻み込む。 「俺のせいではないかもしれん。だがそれでも俺は俺の道を行く……いくら傷ついてもな」 覚悟を決め、揺るがない意志を持ってアルトは立ち上がる。 「だけど、これからは怪我なんてさせないんだからね!」 「アルトがいたから今の私がいる…私の決めた道も私であるためだから」 シズルがアルトの右腕に飛びつき、カナメが左手を優しくとる。 「まぁ、ここまで来れたのもアルトがいたからだし、最後まで付き合うつもりだよ」 ギルドハットをクルクルと回しながらアルトの肩を叩く。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

148人が本棚に入れています
本棚に追加