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「ア、ルト…さん?」
「それ以外に何に見える?」
ズカズカと一歩ずつアルトは座るサヤに迫る。
そして前まで来ると同じ目線になるように屈んだ。
「前に俺がアキナに言ったこと…覚えてるか?」
「は、はいぃっ!覚えでばす!」
涙を零しながら鼻声で返事をする。
「ならわかっているはずだ。これは俺が望み、選択した結果であり、俺の歩みだ。」
サヤの頭に手を乗せ、蒼髪を撫でる。
その時のアルトの顔は若干影が指したが言葉を続ける。
「後悔がなかったわけじゃない…お前を巻き込み、カナメに大怪我をさせ、トミスの人々を危険にさらした…」
目を閉じてその光景を思い出しながら自分の心に刻み込む。
「俺のせいではないかもしれん。だがそれでも俺は俺の道を行く……いくら傷ついてもな」
覚悟を決め、揺るがない意志を持ってアルトは立ち上がる。
「だけど、これからは怪我なんてさせないんだからね!」
「アルトがいたから今の私がいる…私の決めた道も私であるためだから」
シズルがアルトの右腕に飛びつき、カナメが左手を優しくとる。
「まぁ、ここまで来れたのもアルトがいたからだし、最後まで付き合うつもりだよ」
ギルドハットをクルクルと回しながらアルトの肩を叩く。
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