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「フッ……いつの間にか連れが増えたものだな」
満更でもないように微笑をアルトは浮かべる。
「だが、俺が進み出しはじめたきっかけは……サヤ…お前だったんだぞ?」
「私が…?」
涙拭き、立ち上がったサヤは首を傾げた。
別段特別なことをしてきた記憶が思い当たらない。
だが、その思考は次の言葉で無駄となった。
「真っ直ぐな思い、純粋な心、隔てのない性格……今まで出会ったことのない奴だった。
俺が一歩を踏み出せたのはお前のおかげだったのかもしれん」
そう言うと来た道を戻ろうとサヤに背を向ける。
アルトのその背は一般人からは感じることの出来ないオーラのような物を感じさせる。
「俺は同情や情けはいらない…
それに弟子だからと言ってついて来ることもない。
自分が目指して突き進む道を行けっ!」
「!!!」
その言葉を聞いてサヤは自分の身体に電気が走ったのを感じた。
私の道…目指すもの…それは
「アルトさん!」
部屋への通路へ向かおうとするアルトにサヤは名前を呼ぶ。
それと同時にアルトは足を止め、振り向かず立ち止まった。
私が目指す道…
「私はアルトさんのような皆に生きる勇気と守る力を持ったハンターになりたいですっ!
だからっ!」
サヤは一息いれ…
「一緒に行きますっ!
それが私が道を突き進む一番の近道だからっ!」
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