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<練習場>
「はぁっ!せいっ!やぁっ!」
練習場へつくとそこには先客がいた。
伸びてきた蒼髪をポニーテールに縛り、声とともに太刀・獅子舞を振って素振りをしていた。
どうやら集中していて練習場に入って来たアルトに気づいていないようだ。
『アシデマトイニナラナイヨウニレンシュウッテカ?』
「別に悪いことじゃない。むしろいい傾向だ。」
腕を組んで励むサヤを見ながらアルトは月影から聞こえる声…黒耀に返答する。
『スブリヲハジメタクライデツヨクナレタラ、ダレモクロウシネェダロウガッ!』
それはもっともだその程度で強くなれるのなら一日中素振りをしてる。
『だけど何もしないよりはマシでしょ?
それがきっかけになって努力が積もり、実力になるんだから』
もう一本の太刀・紅空緑地に宿っている翠だ。
紅と緑が融合したような紅空緑地は元々二本の太刀だった。
だが…俺が不甲斐ないばかりにもう一つの存在であった紅(クレナイ)は非現実的だが俺の代わりに空へといった…
武器に宿っている…これはあまり適切ではないかもしれない。
武器をつくるに当たって希少な素材を使うことがある。
しかし紅玉や逆鱗などといった物は人間でいう心や記憶といった存在の結晶が詰まっているのだ。
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