148人が本棚に入れています
本棚に追加
「気分悪くなるぜ…」とアルベルは言い、グラスに入っていた氷をかみ砕いた。
裏で顔が広いということは知り合いが多いことに繋がる。
「原因は炎龍の襲撃らしいけど、ラルダの都市が襲われるのはおかしいわね…」
「どうしてだ?山を越えても向こうも砂漠に違いはないし、襲撃があってもとくには…」
アルベルはグラスをカウンターに置き、必死に考える。
キーラは顎に手を添え、アルベルに言った。
「あの地はどのモンスターも何故か縄張りを主張しないのよ。
本当にその地だけね…それ以外とくに何もないんだけど、ラルダの村長に伝わる言葉にこんな一説あるそうよ」
「この地、ラルダは黒き龍の地である…
争うことなかれ…邪の心持ったが最後、黒炎が舞い、災厄が降臨するであろう
恐れよ、心を…
恐れよ、龍を…」
キーラが話を終わると視線をアルベルに向ける。
「ラルダは黒き龍の地…侵されない地が侵された。
これは何か起こる前触れかもしれないわね…」
「…アルトの奴といい、ラルダといい、どうなってんだろうな…」
砂漠の闇と呼ばれる男にも解るはずなかった。
最初のコメントを投稿しよう!