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あの神社での喧嘩の後、俺はちょくちょく白ギャンの喧嘩を見に行くようになっていた。高校生活は始まっていたが、俺は白ギャンに入りたくなっていた。どうしても薫さんの下につきたかったんだ。だからどんなささいな喧嘩でも、あるらしいと聞くと学校をさぼって必ず見に行った。そして、示し合わせたわけではないのに必ずそこには源次もいた。俺たちはいつしか喧嘩の場所にどっちが早く着くか競うようになっていた。
「今日も俺の勝ちだな、源次?気持ちが足りねぇんじゃねぇの?」
高校に入って2週間がすぎたが、俺には学校に友達はいなかった。こうやって源次と会ってる時が一番気が楽だった。
「つっても3勝4敗だろ?俺のがまだ1勝多いんだよ」
源次はいつも原チャに乗っていた。でも俺はまだ原チャを持っておらず、自転車で走りまわっていたのだ。
「お前さ、いいかげん原チャ買ったら?いつまでチャリ乗ってんの?」
源次は会うたびに俺に言った。
「俺だって欲しいけど金ねぇもん」
「お前さ、白ギャン入ってもチャリじゃしょうがねぇだろ?ってかチャリじゃ入れねぇって」
いつも通りお決まり受け答えだ。ギャングは暴走族ではないので、移動手段としての原付バイクで充分なのだと源次は前に教えてくれた。
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