始まり

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 たいていその後軽く喧嘩を眺めて、マックに飯を食いに行くのが日課だった。今日の喧嘩も最近よくあるのと一緒で軽いもめごとから発展したものだった。 「今日も薫さん来ないだろうし、そろそろマック行かね?」  俺は贅沢なことに下っ端の喧嘩を見ることにそろそろ飽き始めていた。 「そうだな。最近いいことねぇなぁ」 源次は原チャに跨がるとエンジンを吹かし自転車に跨る俺の背中を押した。  駅前のマックでぼーっと窓の外を見ながら俺はタバコに火を着けた。目の前をミニスカートの女子高生が二人通って行った。 「そういやお前どこ高行ってんの?」  俺は源次がどこの高校に通っているのか知らなかったことに気づいた。 「ん?あぁ言ってなかったっけ?県凌高校だよ?」  俺はおもわず吸っていたタバコの煙に咳込んだ。その高校は俺が入試で失敗した高校だった。 「嘘つけ!んな頭いいわけないだろ?」 「いや、マジだし。なんなら学生証見せてやろうか?」  そう言って源次は財布から学生証を取り出し、テーブルにおいた。 「マジで?お前めっちゃ頭いいじゃん。俺ここ落ちたし」 「俺天才だから」  俺にはどうして源次がギャングに入りたいのかさっぱりわからない。頭のいいやつが入る理由は俺には見つけられなかった。
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