956人が本棚に入れています
本棚に追加
「貴彦さん」
俺は急いで先を行く貴彦さんに追いついた。
「会議って近くでやるんすか?」
「あぁ。終わってからまた報告しに行かなきゃいけねぇからな。遠いとめんどくせぇだろ?」
「それはそうっすね」
俺は貴彦さんの少し後ろを歩いた。さすがに横に並ぶのは気が引けた。
「会議って何話すんすか?」
「まぁたいていはしばらくどうすっかってことを話すんだよ」
「ただ好き勝手やってるわけじゃないんすね?」
「昔はそうだったけどな、やっぱそれだと無駄に喧嘩とか揉めごと多いからよ。薫さんが決めたんだ」
「へぇ。やっぱ凄いんすね、薫さんって」
「そりゃすげぇ人だよ。お、着いたぞ」
貴彦さんに連れて来られたのは一軒の小さな居酒屋だった。
「ま、入れや」
貴彦さんは慣れた手つきで中へ入っていった。俺も続けて中に入る。
そこはカウンターの他は6人掛けのテーブルが2つしかない店だった。カウンターの前の厨房では頑固そうなオヤジが黙々と何かを煮ている。
「よぉ」
先に来ていたメンバーが貴彦さんに挨拶をした。
「おう。こいつは新しく青龍会に入った大輝。かわいがってやって」
「初めまして。鈴木大輝っす」
俺はここでも頭をさげた。先に来ていたのは3人で、みんな貴彦さんとタメのようだった。
「おう、よろしく頼むな」
「お前一年?」
「よく入れたな?ラッキーだぞ?」
最初のコメントを投稿しよう!