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「じゃあさ、じゃんけんして負けたほうが聞くってのどう?大輝だってあの子がフリーだってわかったほうが幸せだろ?」
「いや、意味わかんねぇし。しかもそれあの子がフリー前提の話だし」
「ゴチャゴチャうっせぇなぁ。男だろ?」
男ならじゃんけんしないでお前が聞きに行けよ、と思ったが結局言いくるめられてじゃんけんをすることになった。はっきり言って、俺はじゃんけんが悲しくなるほど弱い。だからもちろん今回も俺が負けた。
「っしゃ、大輝頼むわ。しっかり聞いてこいな?」
「ったくしょうがねぇなぁ。注文聞きに来た時でいいだろ?」
「おうおう」
俺は別に飲みたくもない珈琲のおかわりを頼むために手をあげた。もちろん、そのかわいい子にむかって。
「はい、ご注文お伺いします」
近くで見るとさらにかわいく、俺も惚れてしまいそうだった。ちらっと胸のネームを見た。その子の名前は高畑真希というらしい。源次が肘で俺をつついた。
「えっと…珈琲おかわりください」
「珈琲のおかわりですね?少々お待ちください」
「あ、あと」
行こうとするその子を慌てて呼止めた。
「はい?」
「えっと、あの…かわいいっすね?彼氏とかいるんすか?」
その子は突然の質問に驚いたようだった。俺は当然だろうと思った。
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