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この日俺はジーンズにダウンといういたって普通の格好をしていた。確かに周りはスウェットやB系ジャージで俺は少し場違いな感じだった。
「何って…喧嘩見に来たんすけど」
俺はそいつをまじまじと見た。まだ幼さの残る顔をしている。
「ってか自分も中坊っしょ?」
初めて見に来た喧嘩で声をかけられて少しビビってはいたが正直嬉しくもあった。
「俺は4月から高校生よ。だからまぁ、まだ中坊か」
そいつは俺の隣りに座った。
白ギャンのヘッドが来ないせいでなかなか本題の喧嘩は始まらず、小さないざこざがあちこちで起こっていたが、俺の興味はこの男に注がれていた。
「じゃぁ俺とタメじゃん。俺も4月から高校生だし」
「マジで?タメなの?ぜってぇ年下だと思った」
そいつは思ったよりも高い声でケラケラと笑った。
生い茂った葉の隙間から漏れる日の光が妙に眩しかった。
「あんた白ギャンなの?」
俺はおもむろに聞いた。白いジャージは白ギャンの制服のような物なのだ。
「そう見えるか?」
少し嬉しそうにそいつは応えた。
「なに、ちげぇの?」
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