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「実はな?俺白ギャン希望なんだけどさ、まだ入れてもらえてねぇの」
そいつは少しうなだれて言った。
それを聞いておもわず笑ってしまった。怖いというよりも親しみ易い印象を俺はこの男に抱いていた。
「何お前、入れないからとりあえず白着てんの?バカみてぇ」
腹を抱えて笑う俺の横でそいつは肩を丸めて小さくなってしまった。
「しかたねぇだろ。白ギャンは誰でも入れるわけじゃねぇんだぞ?」
少し拗ねたような口振りで応えられたが、それでも俺はチームに入るのを断られたなど聞いたことがなかったから笑うのをやめることができなかった。
「お前な、そんなに笑うけどよ、白ギャンってのはただの不良チームじゃねぇんだぞ?だから入るには推薦とか引き抜きじゃなきゃいけねぇんだ。行って入れてくださいっつって入れるトコじゃねぇんだよ。お前だって知ってるだろ?」
俺はそれを聞いて笑うのをやめた。
「そうなのか?白ギャンに入るのってそんな大変なのか?」
「お前…知らねぇの?こんなの一般常識だぜ?」
男は信じられないといった顔で俺を見てきた。
「知らねぇし…で、白ギャンってどう特別なんだ?」
俺は今までいっさいギャングとかチームとかと関わりがなかった。だから、そういった不良界の常識も知らなかったのだ。
「お前マジかよ?」
そいつは呆れたような驚いたような顔で呟いた。
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