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「いいか?まず白ギャンのヘッドの薫さんって人なんだけどな、これがすっげぇいい人なんだよ。後輩の面倒をマジでみてくれる人でな、喧嘩は強えし器はでけぇしって人らしいんだよ。だから白ギャンだけはワルをしないって言われてるぜ?やってもノーヘルと無免ぐらいだろうって」
まるで自分の憧れの女性を語るかのような顔でそいつは言った。
「お前それだけ憧れてて、その人に会ったことはあんの?」
「ねぇよ?そう簡単にヘッドになんて会えねぇって。だから今日初めて会うんだ。すっげぇ楽しみでよ」
相変わらずやって来ないヘッドに期待しつつ、俺はその後も白ギャンのこと、ヘッドの薫さんのことを聞かされていた。
すると、急に周りが騒がしくなった。ついに隣りの男の憧れのヘッドがやって来たのだ。鳥居に座っていた俺達の脇を真っ白いスウェットを着た薫さんが数人の仲間を従えて歩いて行く。初めて見た薫さんは背が高くスラッとしていて、長髪の金髪をなびかせ、まるでバンドでもやっていそうな雰囲気だった。
そしてさっきまでいい人だと言われ続けていたせいか、俺の目に映った薫さんはとてもデカく見えた。
薫さんがやって来たのを見届けると、奥から黒ギャンのヘッドがゆっくりと姿を現した。
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