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待ち合わせ場所は小高い山の公園に向かう斜面で、ちょうど反対側の山に日が沈みかけていた。見下ろす町並に灯が灯りはじめる時間だ。それから10分ほどして源次がやって来た。
「悪い、迷った」
「で、どうだったんだよ。うまくいったのか?」
「あぁ。なんとかOKしてもらったぜ」
「マジか~」
正直、心の底からショックだった。勝手にフラれた時のことしか想像していなかったからだ。
「ま、でもこれからも3人でつるむことに変わりはねぇよ」
「そいつは助かるわ。でもあんまり俺に気使うなよ?これからはお前たちは付き合ってるっていう目で俺は見てくかんな?」
「OK。わかった」
日が完全に沈んだ。紅かった空が真っ暗になった。
「…正直嬉しいだろ?なんでそんなに冷静なん?」
「今な、抑えてんだよ」
「ならその嬉しさを吐きだせ~!」
「よっしゃ~!OKしてもらえたぞ~~」
源次の叫び声が夜空に吸い込まれていった。それから数時間、俺は源次の告白シーンについて根掘り葉掘り聞き出した。
一夜明け、みゆきでは相も変わらず俺たち3人の時間が流れていた。俺の今日の第一声は真希ちゃんに言ったよかったね、だった。そして真希ちゃんにも俺に気を使わないように言った。
その日から3人で遊び、帰る時に源次は毎日真希ちゃんを送って行くようになった。
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