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姿を見せた黒ギャンのヘッドは薫さんとは対称的で、ガタイがデカく柔道でもやっていそうな人だった。
「おい、あの黒ギャンのヘッドはなんていう人なんだ?」
俺は隣りで薫さんを目で追いかけている男に話しかけた。
「あ?あぁ、あの人はたしか増渕健吾って名前だ。見たとおりでけぇし、中学の時に柔道やってて県大会で準優勝したらしいって噂もある」
「薫さん勝てんのか?」
俺にはどうしても薫さんのが不利なように見えてしかたなかった。
「確かにな。でも薫さんは負けねぇから」
目の前では白ギャンのヘッドの薫さんと黒ギャンのヘッド健吾さんが向かい合っていた。並ぶと健吾さんの方が一回りデカい。
「おぉ健吾、遅くなって悪かったな」
薫さんが健吾さんにむかって明るい口調で話しかけた。
「いやぁ実はさ、ちょっと今回のことで調べものしてて遅れちまったんだ」
「調べもの?」
ピクリとも反応を示さなかった健吾さんが聞き返した。
「よぉ薫。お前のとこの兵隊がうちのトコの島をあれだけ荒らしたんだぜ?今さら何調べたんだ?」
健吾さんはあきらかにキレているようだ。
「なぁ。どうしてこの2人タイマンはることになったんだ?」
俺は喧嘩があると駅前の高校生たちが話していたのを聞いたから、面白半分で来ただけなので喧嘩に到った経緯はまったく知らない。
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