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県内屈指の普通の高校
可もなく不可もなく
上の下でも下の上でもない
中の中
それが僕の通う高校だ
視界に入り始めた校門には、当然ながら生徒達が続々と流れ込んでいく
そんなありきたりの光景の中
僕達4人も溶け込むように校門へと入って行く
「「おはようございます!」」
黄色い風が甘い香りを連れて揺れた
そんな錯覚を覚える一つの集団が奏でる唱和
校門を過ぎて直ぐに現れた十数人の女生徒達が、僕に向かって元気な挨拶をした訳で
「ああ、おはよう」
慕われて悪い気はしない
しかし扱いが気に入らない
「ヴァン様、昨日より小さくなりました?」
「ヴァン様、今日こそほっぺた触っていいですか?」
「ヴァン様ってピーマン食べれますか?」
身近に弁護士がいれば訴えたい
どう聞いても馬鹿にされているようにしか思えないだろう?
「じぁあ、私はお先に…」
この集団が苦手な陽子はそそくさと先に校舎へと向かう
「俺も先に行くわ」
大作も我関せずの精神でスタスタと歩いて行く
「クソ!今に見てろよ!」
一人、良く分からない捨て台詞を吐いて走り去って行くキリト
「「お荷物、お持ちします」」
――私設ファンクラブ
創設2年目【晩餐会】
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