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「違うんだ!!
この話しをすればお前達は必ず日本海を選び、傷心の先生を気遣ってくれるだろうと先読みして…」
批難が銃弾のように飛び交う教室で、春馬が両手を前に突き出し弁明をする
「選ぶか馬鹿!」
「一人で行け!そして沈め!」
「お前の心の傷より俺達の受けた傷の方が深いぞ!」
当然、春馬の話を誰一人として納得する者はいない
「こ、小嶋先生も最近家庭がうまくいってないからと協力してくれた……ぞ?」
最低だ……コイツ最低だ
小嶋と言えば1年の時の担任だが、アイツも一枚噛んでいるとはな…
何だか教育現場の乱れを感じずにはいられない
「小嶋先生の事は受け持ちのクラスの生徒に委ねるとして……春馬は懲戒処分くらい覚悟しなさいよ」
最早担任とも思っていないのか、陽子は春馬を呼び捨てにして訴える気満々だ
――そうなると
「彼女に振られ、職も失う訳か…」
今は近年稀な大不景気
その荒波に、こんな頭の配線がタコ糸で出来てるような大人を放り出すのはどうだろうか?
「じゃあ、早速校長先生に…」
「落ち着け爆弾娘」
僕は陽子の言葉を止め、ゆっくりと椅子から立ち上げる
そして振り返り、騒ぎ立てる生徒達を見た
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