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「さ、佐久間……」
春馬がすがりつくような声を出す
「黙れ駄目人間」
僕は視線を向ける事なく春馬を一蹴する
別に僕が立ち上がっのは春馬の為ではない
世の中の為だ
「権太、まさかこんなヤツを庇う気?」
―そんな価値は無い
陽子の瞳がそう僕に訴え掛けている
「そうだ!修学旅行を私物化しようとしたんだぞ!」
「いくら権太でもそれは…」
「権太がそう言っても私達は納得出来ない」
「権太!お前は悔しくないのか?」
おーまーえーらーは
「その名を連呼するな!!
それに修学旅行先くらいで一々騒ぐな!」
自分でもここまで声を荒げるつもりは無かった
だって権太権太って…
その大声のせいか、はたまた『修学旅行先くらい』が気に入らなかったのか、生徒達の敵意は春馬から僕へと移った
「そんな言い方…」
生徒の一人が腰を浮かそうとするが、僕は自慢の鋭いルビーアイでそれを制す
「お前に訊こう
修学旅行に何を求める?」
いきなり振られた質問に、男子生徒その1、田端(タバタ)君がキョトンとする
「え?あ、えと…《思い出》かな?」
田端君は咄嗟ながら模範回答を返した
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