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「お前には聴こえないのか?
成長期という名の腹の叫びが」
キリトはグーグー鳴る腹を押さえて訴え掛ける
確かに育ち盛りの高校生の腹がそんなモノで満たされるとは思わない
―しかし
「お前が僕より育っては困るんだよ」
ジェラシーだよ!
3㎜のジェラシーなのだよ!
キリトの飢えた視線を嫉妬の眼差しで返し火花を散らしていると、大作がポツリて呟いた
「そうか、稲穂の用意したものじゃ足りないか…伝えよう」
シスコン大作
稲穂に想いを寄せるキリトへの高純度な嫌がらせだ
「な、何を言う!
俺はそんな事など…」
両親の仕事の都合上、佐藤家に居候しているキリトは中学生の稲穂に惚れている
身長差はないがこの歳で3つ下はどうだろうか…
「だったらそのヨダレをどうにかしなさいよ」
修学旅行の話で不機嫌な陽子の口調は冷たいものだ
「こんな時は2号のお前が気を利かせげぶべっ!」
陽子の拳はキリトの言葉よりも速かった
「誰が2号よ!誰が!」
お前だよ、鉄人2号め
本日3度目となる陽子の人体破壊に溜め息が出る
その内2度がキリトだ
「何だかもう救いが無いな…」
誰に言うともなく洩らした僕の呟きに、大作だけが静かに頷いた
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