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昼休みが終わった後も、生徒達の話題は修学旅行一色だった
休み時間、授業中問わず交わされる会話の殆どが“それ”だ
「来月だよなー」
「小遣いどれくらい持ってく?」
「班を作るんでしょ?」
等々
春馬の改算の話しは喉元過ぎて、生徒達の話しは既にその先へと進んでいた
「権太は私と同じ班ね?」
放課後真っ先に陽子が口にした言葉がコレ
「何故そうなる?」
僕の椅子の前に立ち、帰路を遮る陽子を睨む
別に陽子と行動するのが嫌というわけではないが、勝手に決められるのは気に入らない
「嫌……なの?」
ゔっ……
なんて淋しそうな目を…
これが半分は演技だと分かっているが、女の子のこの表情は反則だ
「別に嫌ってことは…」
「じゃあ決まりね!
他に誰を誘おっか?何人までいいのかな?私は二人きりでいいんだけど――」
そうだよ
お前はそういうヤツだ
男が…いや、僕が何に弱いか知っていて、ソコを遠慮なく突いてくる
そんなヤツだよお前は
一月先の話しをペラペラ楽しそうに話す陽子を見ながら、僕は胸中で呟いた
嗚呼、お家に帰りたい
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