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はしゃぐ陽子からようやく解放され、教務室の隣にある会議の入口に貼られた
『ヴァン様対メス対策本部』
の貼り紙を剥がし靴を履き替える
陽子の話しが長かったせいか、いつもなら待っていてくれる大作やキリトの姿は無い
「…薄情な奴等だ」
因みに陽子は《茶道部》に在籍していて、今年は副部長に就任したらしい
お前に合っているのは茶道より武道だろう?
茶漉しや柄杓で人を殴打している姿しか想像出来ない僕はヒネクレ者だろうか
『一度見に来てね?』
そう言ってた陽子
すまんな…
僕はまだ命が惜しいんだ
健全な帰宅部を貫く僕は、そんな想いで一度だけ校内の方を振り向き、そして校舎を出た
キッチリ15人の晩餐会メンバーの挨拶に、軽く応えながら校門を過ぎると、大作が壁を背に立っていた
「待っててくれたのか?」
日傘をずらし大作の顔を見る
「ああ、陽子に捕まっていたのが見えたからな
巻き込まれないように此処で待ってたんだ」
それを助けるのが友としての責務ではないのか?
「爆心地に僕を残し、一人安全地帯に避難とはな」
「どこの戦争の話だ?」
僕だけの20分戦争だ
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