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キリトが先に帰った事で、最近では珍しい大作と二人きりの帰宅
騒がしい奴等がいないせいでまったりとした帰り道は、修学旅行の話題で盛り上がる学校から解放された安堵感を与えてくれた
「大作のクラスも似たような感じか?」
久しぶりに声を張ったせいか幾分疲れを感じる
「まぁな、修学旅行と言えば学生のビックイベントだ
騒ぐなというのが無理だろ」
それはそうだが…
基本インドア派の僕はそれほどこのイベントを待ち望んではいない
というか
アウトドア派のヴァンパイアってなんか嫌だ
「まぁ、仲間と共に時間と行動を共有というのは賛成だがな」
それは人間性を豊かに……
ヴァンパイアだったね、僕
「お前って意外と熱いよな」
「う、うるさい」
ヴァンパイアは冷静沈着がモットーなのだ
――と
愛読する
『それいけヴァンパイア』
には書いてあった
大作とそんな会話をしていると、今朝通った公園が見えて来る
公園の手前に十字路を右に曲がれば大作のアパート
直進すれば僕の家の方向だ
「じゃあな」
いつものように片手を上げる大作に、僕も同じように手を上げる
「ああ、また…」
そう口を開いた瞬間
背後に突如気配が生まれた
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