398人が本棚に入れています
本棚に追加
/344ページ
――それは突然
――それは唐突に
二本の腕が僕の首に巻き付く
微かに香るミントの香りがその腕と同じく優しく僕を包んだ
「………ゲット」
耳元をくすぐる小さな声
今月に入って8回目となるこの登場の仕方に、何だか突っ込む気力も萎えてきた
「僕はポケモンじゃないぞ」
それでも律儀に突っ込む僕を誰か褒めろ
「よう、晴香
今日は陽子もいないから存分に味わえ」
大作の要らない情報提供
「……ラジャー……」
「なっ!?こら!」
大作の言葉を受け、首に回された腕に力が込められる
追加オプション――『頬ずり』
「じゃ、達者でな」
事態を自分好みに荒らした大作は満足そうな笑顔で去って行く
「う、裏切り者!」
身体能力では話にもならない相手に抱きすくめられ、こういう状況にはうってつけの二人もいない
されるがまま
公園の前で女の子に後ろから頬ずりされる高校生
誰か警察を呼んで下さい
「おい、いい加減にしないと怒るぞ?」
本当に怒るつもりはないが、コイツにはこれが効果的なのだ
「……うぅぅ……」
渋々、若しくは嫌々といった響の呻き声を出し、晴香が僕を拘束する腕を離した
滝 晴香(タキハルカ)
―継承遺伝子【橿屍】
最初のコメントを投稿しよう!