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――――――――――
「い、行ってきます」
「行って…らっしゃい…ませ」
アスファルトに数バウンドした僕が、ようやく出発を迎えたのはあれから2時間後の事
服は着替えたが、顔の右半分に痛々しく残る痣は消せない
しかしまぁ
顔の半分で済んだのは僕の反射神経の賜だ
と、信じたい
母に蹴られた腹を押さえた清美に見送られ、僕は日傘で顔の痣を隠しながら家を出た
振り向き見上げた僕の部屋
道路に面した部屋の窓を見て、改めて思う
「ヴァンパイアって、丈夫」
5メートルもの高さから蹴り落とされ、顔の痣と肘と膝に軽い裂傷
ヘタすりゃ死んでますよ
母の行動はその事を折り込んでのことだと信じよう
じゃなきゃ虐待ですよ
「あんなモノを修学旅行先に呼んではいけない」
再び決意を固める僕
バス停まで徒歩10分
父の会社はバスで更に30分程行った所にある
当然朝飯を抜かされた僕は、少ない小遣いを考えながら空腹を思う
「おにぎりと……牛乳」
――と、パンとミックスゼリー
もう一人の僕が追加注文
――計画はご利用的に
更に違う僕が囁く
「おにぎりと……牛乳」
無い袖は振れないのだ
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