会社へゴー

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―僕は走った 無我夢中に ―僕は走った 目的地の三つ前のバス停から 日傘もバスの車内に忘れ、自慢の銀髪を振り乱し、それでもただひたすらに ―僕は走った 「紗英ぇーー!!」 父の会社に辿り着いた僕は、自動ドアが開くのと同時に叫んだ 「は、はいっ!!……って、どうしたの権ちゃん!?」 幼馴染みであり、父の会社でアルバイトする赤毛の女性 紗英は僕の満身創痍の姿に、陳列作業の手を止め驚きの表情を浮かべた 「さ、紗英……う、うぅ…」 怖かった…恐かった… 「え?わ、私、何か悪い事しちゃった?」 僕に名前で呼ばれる事の少ない紗英が僕の様子に慌てる しかし、その様子があまりにもおかしいと感じたのか、僕の前でしゃがみ心配そうな顔をする 「ねぇ、何かあったの?」 暫く振りの紗英の顔 動転していた僕の心はゆっくりとだが落ち着きを取り戻してきた 僕はヴァンパイア 冷静で知的がモットーの気高き血族なのだ それが取り乱すなど僕の美学が許さない だから冷静に、冷静に…… 「う、うむ……痴漢にあった」 「よし、ソイツを殺りにいこう」 紗英は大きな胸を弾ませ勢い良く立ち上がる 「あ、いや、ちょっと…」 ――中村 紗英(ナカムラサエ) 継承遺伝子【巨乳】
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