会社へゴー

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―――――――――― 「気にし過ぎじゃない?」 一通り説明を聞いた紗英がそう答えた 「来るのは“あの”母だぞ?」 あの存在を前に『過ぎる』という事など無いのだ 「ま、まあね……」 僕の真剣な表情に、紗英も母の恐ろしさを再認識したようだ 「幸い母は父の言うことなら何でも頷く仕組みになっている」 「どんな仕組み?」 僕が知りたいくらいだ 他に手段が無いとはいえ、直談判など僕も本来ならば避けたい しかし 「他に打つ手が…」 見当たらない それが正直なところで、苦肉の策という訳だ 「いや、ちょっと待って」 紗英が口元に手を当て、何かを僕に伝えようとする 「なんだ?」 まさか『亀の甲より歳の功』というやつなのか!? そうだ、侮ってはいけない こんなヤツでも大学生だ 紗英は普段あまり御目にかかれない真剣な表情で僕を見る 「私も行きたい」 大学生でもこんなヤツだった 「じゃあな 僕は外で時間を潰す」 一瞬でも何かを期待した僕が馬鹿だったんだ 「ああ!じょ、冗談よ!あ、いや、かなり本気だったけど!」 立ち上がる僕に紗英がすがりついてくる ………正直なヤツ
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