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「ンフフ~♪いいお店見つけたのよね~」
店を出て、並んで歩く紗英はとても上機嫌だ
「そうか、良かったな」
自炊出来ない女
外食中心の生活の紗英は、市内外問わず食べ歩いている為、ヘタなガイドブックより頼りになる
自称、だ
「権ちゃんって一応ヴァンパイアじゃない?だからレバーみたいな鉄分豊富な食材が良いと思うの」
紗英は人差し指を立て得意気に話す
週末の混雑した街の歩道を、ふんわりとした赤毛を揺らす紗英が、通り過ぎる人達の視線を集めている
正しくは
胸を揺らす紗英が男達のイヤラシイ視線を集めている訳だが…
「何を勘違いしているか知らないが、ヴァンパイアは鉄分じゃなくて《血》そのものが…」
「――で、ここなんて良いと思うのよ!」
僕の訂正を聞く気も無いか
そんな紗英が指差した一軒の飲食店の看板
【辛ければいいじゃない】
良くないよ
見るからに辛そうな赤色で塗り潰された看板に、筆で書いたと思われる文字
「百歩譲って《鉄分》の話しを容認したとして、この店との関連性は?」
店の前に立ち、看板を見上げたまま紗英に訊く
「レバー→鉄分→血→赤色
そんな感じ?」
どんな感じ?
関連性は無く、ただの連想だった
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