序章

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「他人は黙っててくれ」 僕が物心ついた頃から同じ屋根の下で生活していた爺ちゃん その爺ちゃんが他人だと知ったのは昨年のこと 今更それをどうこう言うつもりもないが、身長のこととなれば別だ 「儂は孫だと思っている」 「ならお小遣いの一つもくれ」 ……… 「孫だと思っていた」 「こっちのセリフだ」 薄ボケた爺ちゃんには付き合ってられない 僕は一気に牛乳を飲み干し、立ち上がって自室へと向かう 光を嫌うヴァンパイアの僕 部屋は厚手の黒いカーテンでしっかりと遮光していて、明かりも蛍光灯など無くランプや蝋燭しか使わない そんな自室のドアを開けると 「うーん!秋晴れ!」 清美が窓を全開にして身体を伸ばしていた 「…………」 僕は無表情に、しかしこめかみにクッキリと青筋を作り、トコトコと清美の背後に進み 「『秋晴れ!』じゃない」 ―ドン 窓から身を乗り出していた清美を蹴り落とした 「ひぃぃあぁぁ!」 ―ベチ とてもリアルに痛そうな音がしたが、僕は気にせず窓を閉めカーテンを引いた 「さてと、使い魔達の食事の時間だ」 僕は机の引き出しから目当てのモノを手に取り、使い魔達の前に屈んだ
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