紗英とランチ

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―遠ざかる景色 やり残した事 ―遠ざかる紗英 お前のせい 「僕は…何の為に…」 沸騰しそうな料理の為? ―否 紗英とキスする為? ―否 痴漢にお尻を撫で回される為? ―否! 「僕は…修学旅行の為に…」 日傘も無く、秋の陽射しで焼けした首筋が今になってヒリヒリと痛む 来た時と比べ車内は空いていて、座席に座る事も出きるだろう しかし僕は流れ変わる景色を呆然と見送る事しかできなかった 「明日、出直そうかな…」 明日は日曜日 まだ仕切り直す事だって可能だ なんか…疲れたな 一度下がった士気を再び上げる気力が今は湧いてきそうになかった プシュー 朝とは違い何事も無くバスを降り、何時もと同じ町並みが少し淋しく感じた 「なんて実りのない休日か」 昨年から店を閉めている文房具店の看板を見て、何だかやるせない気持ちになる 僕が母の行動を止めようなどおこがましい考えだったのたろうか それとも、起こるかも分からない恐怖に怯え過ぎているのだろうか 接地感の薄い足取りで家路に着き、玄関を開ければ 「早かったな、権太」 恐怖がいた
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