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朝は真っ赤なワンピース
それが今は深緑に変わっているのはいいとして、母が玄関で出迎えとは尋常じゃない
清美がリビングのドアから不安そうな眼差しを向けているが、是非とも止めてほしい
「ただいま…で、ございます」
ああ、なんでこんなにも喉が渇くのだろうか
母の表情はいつもと同じ
普段から喜怒哀楽を表に出す御方ではないので、僕なりにその雰囲気というか空気を感じ取るしかない
―降水確率70%
何故、気象予報風なのかは個人情報に含まれるため公表できないが、雷も落ちると見て良いだろう
「男の戦場に足を踏み入れたからには、それなりの理由があっての事だろうな?」
母は憶測でものを言わない
何らかの手段で、誰からか情報を入手しているに違いない
父が電話したんだね
「あ、いや…久しぶりに紗英の顔でも見に行こうかと…」
今となっては、あながち嘘ではないと思います
「まぁ、その紗英が気を利かせ電話をよこしたのだがな」
お前かい
と、いうことは
一体どこまで情報が漏洩しているものだろうか…
恐る恐る母表情を窺うと、吊り気味の目が若干下がった
「母は悲しい
そんなに邪険にされていたとはな…」
紗英のお喋りさん♪
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