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「では、修学旅行での行動班を作ってもらう
詳細は今から配るプリントに書いてあるからよく読んでくれ」
修学旅行が二週間後に迫った朝のHR
反逆の担任春馬がプリントを己の唾で汚しながら配る
皆、渋面だ
しかし修学旅行の醍醐味の一つであるこの《行動班》を決めるという言葉に、クラス内が俄に盛り上がっていることは否めない
そして背後から異様な熱気を放っているのは陽子だろう
「プリントとは…
口頭で説明すれば済む話しではないか」
修学旅行に“しおり”は付き物だが、班を決めるくらい要点だけ話してくれば問題無い
春馬の無駄な努力の詰まったプリントを、気乗りしないまま目を通し後ろにまわす
―ぎゅっ
ん?
後ろの席の生徒が掴んだのはプリントではなく僕の手の方
「ヴァン様…ぜ、是非ご一緒させて…」
―スコーン!!
「ギャン!」
瞳を煩悩に染めた晩餐会メンバーのクラスメイトその1が白眼を剥いて倒れた
そしてその奥
最後尾の席で鋭い視線には全くミスマッチな、招き猫のようなポーズの陽子がいる
「スナップだけでこの威力とは…」
足元に転がる消しゴムに視線を落とし、陽子の恐ろしさを実感する
アイツは将来、何に成りたいんだろうか
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