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苦虫を噛み潰したような陽子
万度お前の思惑通りに行くと思ったら大間違いなのだ
ああ、スッキリ
「い、いいのか?俺で」
頭が悪いと評判の男
――猿山 亘(サルヤマワタル)
「悪いわねー、陽子」
意地が悪いと評判の女
――戌井 芳美(イヌイヨシミ)
自分で指名した訳ではあるが、なんとも不安な新メンバー二名
「馬鹿ザルはいいけど芳美はちょっと…」
「誰が『馬鹿ザル』だコラ!」
五分に刈った坊主頭がトレードマークの猿山は、野球で水分補給担当だ
野球的に戦力外だ
「何でサルはいいのに私は『ちょっと』なのよ」
「気安くサルって言うな!普段そんなに接点無いだろ!」
ブラウンのロングヘアーをサラリと背中まで流し、上品というより気位が無駄に高そうといった雰囲気の芳美
「…バスト80イジョウハオコトワリ」
「え?なに?
ハッキリ言ってよね」
真横にいる僕にはしっかり聞き取れた陽子の本心
さしもの陽子も声を大には言えなかったようだ
まぁ、紗英ほどじゃないな
個人的な意見はさて置き、どうやら陽子も諦めたのか肩を落とし項垂れた
「異論も無いようだから決まりだな」
僕は最後にそれだけを言い、よく解らないオーディションの幕を下ろした
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