出発前日

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―ガチャ 「おい清美 爺ちゃんを知らないか?……って、何を堂々とリビングで寝ている」 床に転がる清美に言う 「顔に……メガネが刺さって」 ああ、僕が蹴ったのか 「自業自得だ それより爺ちゃんの姿が見えないが、まさか…」 両親のタヒチ旅行の時に、同じくして熱海に行ってしまった去年の日を思い出す 「あ、いえ、自室におられると思います お呼びしてきましょうか?」 上半身を起こし、メガネを外し歪みを直しなら清美が言う ……それだと高校生でも通用しそうだな 眼鏡を外した清美は普段よりも幼く見えた 「そうしてくれ」 清美は「はい」と短く答え、爺ちゃんの部屋へと小走りに去って行く その後ろ姿を見ながら、僕は誰も居なくなったリビングでため息をついた 「はぁ…… 爺ちゃんに頼み事とは僕も堕ちたもんだな」 酷いと言うなかれ 僕の知る最古のヴァンパイアである滋夫は、自由奔放な居候にすぎないのだから 待つこと数分 不機嫌そうな顔をした頭髪の薄いヴァンパイアが登場 「なんじゃ また『高い高い』でもして欲しいのか?」 「頼んだ事ないだろ」 …もう、話すのも嫌になってきた
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