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僕が爺ちゃんを呼んだ理由は言うまでもなく小遣いの催促だ
今の今まで一度たりと金銭をもらった事の無い相手なだけに、期待はその頭髪程に薄い
「ふむ……つまり、小遣いをよこせと言いたいんじゃな?」
良かった
とりあえず言葉は通じたようだ
まさかのボケを予想していたが、それは僕の杞憂に終わった
「で、勝負はなんじゃ?」
終わらなかった
「勝負って、何の話しだよ爺ちゃん」
無駄に眼光を強めた老人に、僕は引きつり気味の表情で返す
「小遣いとは金じゃ
金とは己が力で奪い取るものと昔から決まっておる」
おお、居候の分際でソレっぽい台詞を吐いたぞコイツ
「古来より力を示した者が金を手にする」
「じゃあ爺ちゃんは何で母に借りたりするんだ?」
……………………
「力を示す
それは勝負をするという事に他ならないのじゃ!」
「今の“間”は何だ?
そして質問はスルーか?」
年金をもらっているのかは知らないが、現在無職の爺ちゃんは時折母からお金を借りている
しかし、どうやって返しているのかは定かではない
なんとも謎の多いジジイだ
「金が欲しいというなら戦え権太!儂から金を奪ってみよ!」
奪えって…
聞こえが悪いぞ爺ちゃん
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