出発前日

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―先手必勝 体格差で劣る僕が、このルールで勝つには出遅れは論外だ 出だしで他者を出し抜く必要があるならば、僕はその手段を用いるまで ヴァンパイアの【力】を レシアには十年と言われたその【力】のコントロール 確かに闇を“鋭い刃”へと形態変化させるのは今も上手くはいかない ―しかし ただの“棒”なら僕にだって… 黒い風は集束を始め、それは次第に形を成す 直径1M50㎝弱 形態維持時間は30秒 それが今の僕の限界だ 「ほぉ…」 清美は放り投げられた小石に夢中で僕の行動には気づいていないが、爺ちゃんは僕の意図を察し紅の目を細める 予備動作の長いこの【力】 気づかれるのは予想の範疇だ 一振りで決めてやる 小石が落下を始め、重力に引き寄せられるように地面へと―― ――ドッ 小石は小さく弾み、開戦の合図は成された ―ヒュッ! 同時に僕は漆黒の棒を二人の足元めがけて振るう ―ゴッ 「あぎゃ!」 最初の一歩を踏み出した所を狙われ、清美が思惑通りにベチャリと地面に転がった しかし 「青いぞ権太」 爺ちゃんは僕の一振りを軽々と跳んでかわした
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