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 制服を着ていても違和感のなさそうなその女は、壇上で綺麗な声で挨拶した。  「産休の中野先生の代わりに来ました、保健室担当の酒井紅葉(くれは)です。よろしくお願いします」  ――先生かよ!  思わず心の中でツッコむ。  ――あんな可愛い大人、いるんだ。  ふとそう思って、『可愛い』と思ったことに自分で驚く。  ――つか、なんであんな女のことばっかり気にしてんだ?俺は。  今までにない感情に、戸惑う。  この時はまだ、一目見ただけで心を奪われたなんて、認められなかった。
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