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(・・・クスク・・・ス)
『何なの!?』
姫は、王子の話を優しく微笑んで聞いているかのようだった。
(クスクス・・・楽になれば・・・クスクス・・・)
『貴方は誰なのです!?』
姫は微笑んでいた。
(・・・クスクス)
王子は、自分の話に陶酔していた。
(クスクスクス・・・クス)
『何なのですか?誰なのですか?』
姫は、どうにか客人に気付かれないよう、必死だった。
『わからない・・・これは何なのでしょう・・・怖い・・・怖い!助けて!!』
しかし、目の前の王子は、振り向く事もなく。
姫の視界には、二人の高尚な愛を語る王子の背中と、それに付き合う客人達、濃紺の大きな闇夜、揺れる松明の炎。
姫は、気付いた。
『今、わたくしは、ただの人形・・・!誰も、夫である王子様でさえも、わたくしを見てはくださらない!!』
姫は考えた。
『皆に、王子様に振り向いていただかなくては・・・!今、助けて欲しいのだから・・・!そのためには・・・!!』
「王子様を助けたのは、わたくしではありません!わたくしは、ただ、通りかかっただけなのです!」
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