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ヤナンは私たちに聞かせたい物語があるみたいだ
聞いてみようではないか
大樹の下にその泉はあった。
大きな泉である。
古来よりその泉は人々に重要視されていた。
王朝もその泉を愛し、民にも水を分け与えていた。
しかし
その泉は夜になると、まるで水中にもう一つの世界が現れたかの様に、真っ暗になり、無数の星が瞬く泉に変わった。
まるで覗き込んでくれと言わんばかりに多くを魅了するのだ。
なんとも不思議な泉である。
ある日、一人の若人が泉に捧げる花を一輪手にしてやってきた。
水へ手を浸し、花を捧げると木々がざわめき始めた。
『ああ、人々はまだ気付かないのだろうか!』
若人は顔をあげると木々に問うた。
『一体何に気付くと言うのかね?』
すると鳥が歌い始めた。
『神秘に惑わされたならおしまいだ。全ては太陽神が知っている。』
若人は不思議に思い、天を見上げた。
『太陽よ!太陽の神よ!私は一体何に気付いていないのだ?』
ふと
彼が視線を泉へ戻すと、そこに泉はなく、あるのは木々だけであった。
彼は不思議に思い、一度王朝へと戻った。
けれども
若人の目に映ったのは廃れた王朝だけであった。
太陽は言った。
『所詮は死人の幻想に過ぎなかったのだよ。』
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