1人が本棚に入れています
本棚に追加
マレンゴは主から昔話を聞かされたみたいだ。
おや
マレンゴが記憶を垣間見ることを許してくれたみたいだ。
では
見てみようではないか。
なぞった文章にそれはあった。
何度滅んでは甦る理想郷。
そこに住むは神々の使い。
今となっては甦る事などない。
何故か
この都は四つの種族によって支えられていた。
しかし
ある日、予兆も無く。
それは起こったのだ。
天変地異ではない。
ただ一種族の
たった一人が起こした謀反だった。
それにより安定を保っていた都は一気に崩れたのだ。
その謀反者は都を手中に治めるべく王を討った。
そして
安定が乱れた都は
大地震と大洪水を起こし、海中深くへと消えていった。
神々の使いと言えど、海中では呼吸が出来ぬ種族は大勢居た。
その種族の御霊は一○八の光となり、この世に飛び散った。
さて、謀反者は如何様になったか。
彼の傍にはいつも付き添っている同種族が一人居た。
二人は幼い頃より共に時を過ごし、幼い頃より誓いを立てていた。
片方が疲れればそれを癒やし、片方が悲しめばそれを慰めた。
だが最早それは叶わなかった。
海中で謀反者の亡骸にすがりつくようにもう一人。
傍らにいる者が居た。
彼は一つ問うた。
『天と地の狭間とは一体何なのだ』
一粒
消えゆく生命の中で流した涙は大陸となった。
最初のコメントを投稿しよう!