74人が本棚に入れています
本棚に追加
「わかればいいんだよ、わかれば。で、アーヴィン暇だ」
「いきなりなんだよ。暇ってやることはいっぱいあるだろうが」
はぁ~、一体今日が始まってから何回ため息をついたことか…………
「刺繍やダンス、勉強にそのたいろいろな事が大量にあるだろ。暇とか言ってる暇はねーんだよ」
「却下だ。めんどくさい……」
エレナはそう言って、美しいドレスを翻し、さっさと先程座っていたところに座った。
「んっ…………もう無くなったのか……おい、アーヴィン、紅茶」
エレナはそう言って、カップをもち、持ってこいとカップを振った。
「そういうことは侍女に頼んでくださいよ。俺は騎士で貴女を守る立場にあって、貴女の世話係ではないんですから」
まぁ、使用人が嫌い、というか、俺や一部の貴族と騎士長、それと当たり前だが、陛下と王妃様以外、姫の正体を知らないのだから。
だから、侍女にも姫として接しなくてはいけないのが嫌なのだろう。
「アーヴィン、お願いしますわ。わたくし、貴方の紅茶が飲みたいの」
うるっと、うっすらと涙を浮かべて俺を見つめてきた。
俺はどんな演技だとしても、彼女の涙には弱い。
「はいはい、かしこまりました。エレナ姫」
俺は慣れた手つきで紅茶を蒸らし、お湯を入れ約3分ほどたったころで、カップに注いだ。
その瞬間甘い匂いが部屋じゅうに広まった。
最初のコメントを投稿しよう!