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「デネブ、ベガ、アルタイル。」
マーカーペンで彼はコピーした紙に点をつけ、結ぶと三角形が描かれた。
「これで、夏の大三角。」
彼は説明を終えると、天体望遠鏡の位置を合わせを始めた。
経過が遅い毎日。だけど今日までは思いのほか早く過ぎた。それは、私が楽しみにしていたのだろうか。
「ねぇ、星が好きになったのはいつから?」
彼はうーんとうねり、答えを探している。
「多分、中学ぐらいかな。最初はただ彼女が最後見た世界を見てみたいっ思ったのが始まり。」
「最後?……あっ」
「うん。俺の彼女はここで…ね。」
とんでもない事を聞いてしまったと後悔した。
「ごめん…。」
彼は俺から切り出した事だしっと言い笑いかけてきた。彼の笑顔からは過去を読み取れない。
「俺こそごめん、なんか湿っぽくしてさ。」
彼の優しさにほんの少し安らいだ。
「ささ、見てみなよ。」
彼と場所を変わった。
確かに、そこに線はなくても大きく輝く星が三角形を作りだしていた。
でも、私は星よりも彼に気が行って仕方がない。
彼を知りたい。彼と一緒にいたい。
……あぁ、そうか。私は彼の事が好きになったのだと気が付いた。
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