侍立異端

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俺にだって解る、何かを為すために必要なものは何なのかという事…   願うだけでは駄目なんだ、その願いを行動に移す勇気と…それを支える、指示してくれる人達、そしてそれを実現させる…力がいるんだ。   桃香や愛紗、鈴々にもその勇気があり武が備わっていた…だが、余りにも彼女達の立場が弱すぎた。   これがどこぞの国を治める者ならば、さしたる苦労は無い問題だったはずだ。   そこに思い至り、ふと浮かんだ疑問を口にした。   「何故…桃香達は俺を主と…?」   「鈴々達が出会った占い師が言ってたのだ!えっと…」   内容忘れたのか、うーんと唸る鈴々に変わって愛紗が説明を始めた、流石はお姉さんだな。   「流星に乗り、天の御遣いが降り立ち…天下を安寧に導くであろう…占い師はそう言いました、そして私達は五台山に流星が落ちるのを見たのです…」   なるほど…なんとなしにだが大体の話しが見えてきたな、つまりは…   「俺がその天の御遣いではないか…そう考えた、という事でいいのかな?」   だからこそ彼女達は単に助太刀しただけの俺を主にと仰いだ…確かに、彼女達の弱さを埋める絶好の機会だからな。   俺のいた世界よりも遥かに…そういう存在に対する価値がある時代なのだから、それを利用しようと言うのも頷ける。   「つまり、その虚名を使い…力を人を得よう、という事か…悪くはない策だな」   「で、でも!!ご主人様をご主人様に決めたのはそれだけが理由じゃないんです!!ご主人様や我導さんが現れなかったら…この邑は、私達はきっと…あの時に殺されていたと思う…」
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