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「どこ…ここ?」
今日の夕刻には京に入るはずだったのだが…道に迷ったのだろうか?
見渡す限りに広がる平原と、霞んで見える見覚えの無い山々…そして訝しむ目の前にいる黄色い布を巻いた人。
見た目的に頭が悪そうだからどこか人のいるところに赴いて情報を…
「いや、だからその身ぐるみおいてけよ、ていうか人の話し聞けよ!!」
これまたあまり見ない形の短刀を取り出して凄み始める黄色い人を無視して改めて黙考…
変な茸でも食ったかな…いや、茸とは限らんな…
「や、野郎!!アニキの事を無視しやがって!!」
「ひ、ひどいんだな!」
アニキという奇妙な名前の黄色な人を中心に周りが騒ぎ立てる、正直鬱陶しい…斬るか?
少しだけイラっと来たのとほぼ同時にその声は響いた。
「待てぃっ!!力無き者を相手に三対一で襲いかかる無道、許し難い!」
男の声ではない、凛とした女性の高い声が。
影が掠めた瞬間、目の前に白い装束に身を包んだ少女が三人の前に立ち塞がっていた。
「少女の前に美という文字を付けて欲しいものだな」
どうやら読心術の心得もあるみたいだ。
「次からは気をつける、御助勢かたじけない」
どう見ても俺の目の前に立つ美少女の方が黄色三人より強そうだった。
手には槍、女性が振るにしては随分と気合いの入った槍に見える。
剣を抜く必要は…なさそうだな。
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