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「お召し物も…私達とはちょっと違うみたいだし…」
「そうですね…しかし…」
チラチラと此方を見ながらまだ話しを続けている。
「いや、聞こえる小声で内緒話をされても困る、俺はこの地の事は何も分からんのだから」
俺のこの一言が彼女達にとっての何かについての決まり手となったらしく、劉備が一歩前に出て元気良く頭を下げる。
「お待ちしていました、ご主人様♪」
…なんぞ?
「我等の前に現れて頂けるとは…重畳の極み、これからよろしくお願い致します、ご主人様」
関羽まで…一体何の話だ?
「お兄ちゃんは鈴々達のご主人様なのだな?よろしくなのだ、お兄ちゃん!!」
話が分からないままどんどん進んで行くが…つまり、どういう話なんだ?
詳しく話しを聞こうと腰を上げた瞬間、背後に凄まじい気を感じて振り向き様に抜刀していた、いや、抜刀させられていた。
「…おいおい、当たったらどうするんだよ?あぶねぇなぁ全く…これでも味方だぞ?」
斬るつもりで振り抜いた刀は男の顔の横にあった。
かわした!?今のを…って、こいつは…驚いた。
「我導、荒神我導か!?」
目の前にいる隻腕の男の名は我導、俺が戦場で唯一背中を預けた友だった。
「しかし一刀がこの世界に来てるとはな…いやいやいやいやぁ…俺はうれしいぜ」
「そりゃこちらの台詞だ、ん?しかし今のこの世界…というのは、やはり…」
「あ、あの~…ご主人様?」
おっと、知り合いに会えた奇跡にすっかり劉備達の事を忘れていた。
「すまない、えーと…この方は我導といって、俺の親友であり戦友だ」
「姓は荒神、名は我導、何だか分からないが面白そうだしせっかくだから俺も仲間に入れてくれ」
我導が仲間になるならこれほど心強い事はない、俺は三人に向き直りその表情を伺う。
「ご主人様がいいなら私は大歓迎だよ♪」
「鈴々も!!」
ありがとなーと言いながらワシワシと鈴々の頭を撫でる我導を見ていた関羽が俺に向き直りにっこりと笑う。
「ご主人様の親友ならば、私が否と言えませんよ」
「ありがとう」
礼を述べた俺に、いえいえ!と慌てた様子で被りを振った関羽を見て皆が笑う。
「じゃあ改めて自己紹介するね♪私は姓は劉名は備、字は玄徳で真名は、桃香って言います。」
真名?字は解るが…
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